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入浴中の突然死

入浴すると身体は経時的に下記どのような変化をおこします。
1)寒い脱衣場や浴室に入ると血管が収縮し、さらに脱衣や身体を洗うなど身体を動かすことにより血圧は急激に上昇します。
2)浴槽に入り湯につかっていると、温熱効果で血管の拡張と循環血流が改善され、血圧は急激に下降します。
3)温まった身体で寒い脱衣室に戻り、着衣行動で体を動かすことによって血圧は上昇します。
4)その後、服を着て体温は保たれるため血圧は下降し、そのまま長時間持続します。

寒い季節に入浴すると血圧の急激な上下と心拍数の増加を伴うため、立ちくらみ、転倒、水没などがおこります。熱い湯に長くはいると、炎天下で激しいスポーツをしたときのように熱中症になり、めまいや失神・脱水・血圧低下をおこすのです。血圧の急激な変化で病死になったり、立ちくらみで転倒して病死や溺死となる危険性があります。寒い脱衣室にはいると、血管が収縮するために血圧が急に高くなり、脳出血の危険が高まります。逆に熱い浴槽内では血圧が急に下がり、脳梗塞や急性心筋梗塞をおこしやすくなります。

入浴中の突然死で死亡する人は、全国で1.5〜2万人位と推定されております。その原因は、溺死と病死です。前者は入浴中の突然死の20%、後者は80%を占めております。病死は脳出血や急性心筋梗塞と脳梗塞が主なものです。入浴直後には脳出血、入浴中には脳貧血や意識障害、入浴後には急性心筋梗塞と脳梗塞が起こりやすいといわれています。入浴中の突然死は外国には少なく、日本の高齢者に特に多く起きています。その理由は、日本人の伝統的な悪習慣である熱い湯船に肩までつかるという、危険な入浴法を行っているためです。

いずれの行動においても、浴室温度が低く居室や湯船の温度との温度差が大きいほど、ヒートショックが起こりやすくなります。ヒートショックとは、急激な温度変化が身体に及ぼす衝撃のことです。ヒートショックは入浴による温度の著しい変化とそれに伴う血圧の急変動、脈拍数の急増と密接に関連しています。血圧のヒートショックは、心筋梗塞や脳血管障害などで急死に結びつきます。

入浴中の突然死を発見した場合はできるだけ、迅速に下記のことを行います。
1)大声を出して家族を呼び、助けを求めます。
2)風呂の栓を抜き、おぼれないようにします。
3)顔面が水没している場合は、2人で水中から引上げ、風呂から出します。
4)人工呼吸法を知っていれば試みます。
5)タオルや毛布をかけて、身体を暖めます。
6)119番へ電話し、病院へ運びます。

入浴中の突然死(心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、意識障害)を予防するためには、下記の注意事項を守りましょう。
1)寒冷時は、脱衣室と浴室を十分暖かくしておきます。
2)風呂の温度は38度〜40度と低めに設定します。42〜43度の熱い湯は危険です。
3)入浴時間は短めにし、半身浴で寝た姿勢で入るようにします。
4)入浴前後にコップ一杯の水分を補給します。
5)11月〜3月の寒い時期には、入浴回数を減らすか、シャワーにします。
6)高齢者や心臓病の人が入浴中は、家族が時々声を掛けチェックしましょう。
7)入浴前に降圧剤やアルコールは飲まないようにしましょう。
8)寒い時には野天風呂に入らないようにしましょう。
9)温泉で夜中に1人で風呂に入らないようにしましょう。
10)収縮期血圧が180mmHg以上ある場合、または格張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴を控えて下さい。
11)早朝は睡眠時の発汗で血液が濃縮しているので、突然死が起こり易いのです。コップ一杯の水・アミノ酸飲料などを入浴前にのみましょう。
12)低血圧の人は、立ちくらみに注意しましょう。