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突然死を防ぐためのくも膜下出血徹底予防術

死亡者数が減ることのない、くも膜下出血。平成16年度の厚生労働省の調査では年間死亡者数は1万4728人です。発症すると約半分の方が命を奪われてしまう危険な病気です。

★まずはクイズ★

問題:血圧を下げる効果のある調味料は何か?
答え:酢
※毎日大さじ1杯の酢を飲むと効果がありますが、原液を5倍に薄めて飲まないと胃を荒らすのでご注意下さい。番組ではお料理に使ってとることをおすすめしました。

問題:血管内の渋滞が原因となって起こる病気は?
答え:脳こうそく

問題:血圧の低い動物は?
答え:カエル
※カエルの平均血圧は、上が30mmHg、下が20mmHg
※参考:キリンの平均血圧は、上が260mmHg、下が160mmHg

◎くも膜下出血の特徴は、発作時におこる「ハンマーで殴られたような激しい頭痛」です。専門家によると、頭痛の主な原因は脳の太い血管にできる「動脈瘤(どうみゃくりゅう)」であるといいます。動脈瘤とは、脳の動脈の血管に突然できた風船のようなコブ。このコブが破裂すると、大量出血し、くも膜下出血が起こるのです。

◎激しい頭痛のメカニズム
脳は、頭がい骨〜硬膜〜くも膜と膜によってで保護されています。くも膜と脳の間にはすき間があり、くも膜下腔(くう)と呼ばれています。そして、このすき間は髄液という液体で満たされているのです。脳の太い血管である動脈は、このすき間を通りながら全体に配置されています。髄液で十分に満たされたすき間に大量出血が起こり、血液が流出してしまうと、圧があがって脳を圧迫します。この圧迫が激しい頭痛として現れるのです。

◎動脈瘤について
動脈瘤ができる詳しい理由はわかっていません。
できる原因がわかっていないので、はっきりした予防法もありません。
はっきりしませんが、大きくなるのではないかと考えられています。

◎動脈瘤ができやすい場所は?
動脈瘤ができる場所はだいたい決まっていて、血管の分岐する部分です。血管壁に形成されることもありますが、Tの字やYの字の形をした血管の分岐点にできやすいのです。

◎特に注意すべき対策は高血圧!
分岐した箇所にできた動脈瘤のある血管の血流をスーパーコンピューターでシミュレーションして見ると、血圧の高い状態では動脈瘤の部分に強い圧力が加わることがわかります。動脈瘤が破裂しないように、まずは、血圧をコントロールすることがとても重要なので高血圧は要注意です!

◎動脈瘤を早期発見するにはどうすればいいのでしょうか? 脳ドックの施設のある病院を訪ねると、一般にMRIでMRAと呼ばれる撮影法をつかって動脈瘤を見つけだすのだそうです。血管に形成される動脈瘤では、小さなもので1ミリメートルのものまで発見できるそうです。

こうして脳ドックで見つかった小さな動脈瘤は、無症候性未破裂脳動脈瘤(むしょうこうせい・みはれつ・のうどうみゃくりゅう)と呼ばれています。

※無症候性未破裂脳動脈瘤とは:本人に自覚症状がないことが多いため「無症候性」と呼ばれています。また、破裂して出血をしていないこともあり「未破裂」とされているのです。

母をくも膜下出血で亡くしたTさんは、脳ドックをうけたところ、未破裂の動脈瘤が3つ見つかりました。破裂してからでは大変だと思い、半年後、予防のため手術を決意します。動脈瘤の根元をクリップでつまんで動脈瘤自体をなくす「クリッピング」と呼ばれている手術です。

兄をくも膜下出血で亡くしたGさんは、53歳のとき、脳ドックで自分の脳を調べたところ、未破裂の動脈瘤が見つかりました。Gさんは、自分がいつくも膜下出血をおこすのか、怖くなったといいます。いつ破裂するかわからない不安感もあり、1年半後、予防のための治療を決意します。Gさんが受けた治療は「血管内治療」と呼ばれ、太ももにある血管からカテーテルと呼ばれる細い管を脳の血管まで通し、この細い管の中に仕込んだ金属性のコイルをつかって動脈瘤の部分を内側から埋めてしまいます。動脈瘤の部分に血液を流さないようにして破裂を防ぐのです。

◎未破裂動脈瘤の予防治療は2つ

●クリッピング手術
およそ50年の歴史がある
動脈瘤自体をなくす
患者への負担が大きい
場所によっては手術できない場合もある

●血管内治療
日本では1997年から、9年の歴史
動脈瘤の部分を埋める
患者への負担は少ない
クリッピングでは処置できない場所でも手術できる場合がある

◎未破裂の動脈瘤を早期発見した場合、2つの予防治療以外に、もう1つ選択できる道があります。

Iさんは、今から7年前、脳ドックで未破裂の動脈瘤を見つけました。以来、手術による予防治療はしていません。予防治療の検査にリスクがあると言われたからです。当時、1998年、未破裂脳動脈瘤に関する海外の論文が話題を呼びました。「10ミリ以下の動脈瘤が破裂する確率は年間0.05%」というとても低いデータが報告されたのです。Iさんは検査や手術のリスクもあり、動脈瘤を治療しないことに決めました。また、動脈瘤の予防治療をしたところ、手術をして逆に危険な目にあった方もいます。

都内のKさんの奥さんは、未破裂の動脈瘤が見つかり、クリッピングによる予防治療を受けました。ところが、手術後に脳こうそくが発生して、元気だった奥さんは一転して障害者になったのです。

動脈瘤の専門家によると、「未破裂動脈瘤というのは、破裂して悪さをしなければ問題はない。そして、動脈瘤を手術しようとすると100%安全ではない。手術による合併症が2〜4%おこってくる」といいます。

◎そのままにしておいたら未破裂の動脈瘤はどうなる?
何もしないでそのままにしておいた動脈瘤が破裂する確率について現在、いくつかの調査が行われていますが、2001年に始められた日本脳神経外科学会の「ユーカス・ジャパン研究」の中間報告によると、「日本人の年間破裂率は1%弱」であると言います。

一方、予防のための治療、クリッピングと血管内治療にはリスクがあります。手術における合併症の危険性は2〜4%と考えられていますが、日本ではもう少しリスクは低いようです。病院で開示されている手術成績などをよく確認するとともに、医師やご家族とよく相談をし、最終的にはご本人が選択することになります。

※動脈瘤を持っている方で、注意が必要であると思われる方
・動脈瘤の大きさが5ミリ以上
・動脈瘤が丸くなく形がいびつなもの
・喫煙
・高血圧
・家族歴がある方

動脈瘤が見つかった場合、まずはあわてないことです。自分の満足のいく選択をするためにも、医者まかせにしないで、現在わかっているかぎりの情報を集めたり、主治医以外の意見を聞くセカンドオピニオンを求めたりすることはとても大事です。

◎くも膜下出血といえば、激しい頭痛がおきることで知られています。しかし、動脈瘤の患者さんすべての方がその発作をいきなりおこすわけではなく、約半数の方は、大きな発作をおこす前にウォーニングサインという警告発作、小さな発作を起こすことがいわれています。

都内にお住まいのYさんは、コーラス会の直後、突然めまいを起こして倒れました。意識も失ったため、救急車で運ばれて頭を検査してみたところ、くも膜下出血をおこしていたのです。しかしYさんの場合、激しい頭痛はなかったといいます。

◎見逃さないで!! くも膜下出血の前兆
動脈瘤が破裂してくも膜下出血が起こったとき、突然の激しい頭痛が発生しないこともあります。破裂した時の出血量が少ないと頭痛が前面に現れないことがあるのです。こうした少量の出血の時には風邪などと間違えることもあるので、動脈瘤をお持ちの方に突然の「軽い頭痛」や「めまい」などがあった場合は脳外科で診察していただくことをおすすめします。

また、未破裂の動脈瘤が大きくなった場合、前兆として「物が二重に見える」ことや「片方の瞳孔が拡大する」といった自覚症状が現れることがあるのでご注意下さい。